2026年7月29日

2026年7月のブログーエマニュエル・トッドの見解

 今月は、その著書がいずれも図書館で数10人待ちとなる売れっ子のエマニュエル・トッドについて、そのユニークな見解、状況判断についてについて述べたいと思います。エマニュエル・トッドは各国の家族制度、識字率、出生率、死亡率等に基づき現代政治、社会を分析し、ソ連崩壊、米国の金融危機、アラブの春、トランプ大統領の当選、英国のEU離脱などを予言し、的中させてきました。そこで、現在の見解、もしくは預言を見ていきたいと思います。なお、ウクライナ戦争に関し、5年後には動員可能な年齢層の人口が激減するからロシアは開戦から5年以内に戦争を終わらせるであろうと予想。2027年2月24日となります。 ウクライナ戦争とイラン戦争は第3次世界大戦であり、その戦争の2つの戦線をなしている。この戦争で米国はロシアに負けている。その根拠はエンジニア数でロシアに劣っているからだとしています。
  現在の主要な戦争であるイラン戦争とウクライナ戦争について、両者は別々の戦争ではなく、第3次世界大戦の「南部戦線(イラン戦争)」と「北部戦線(ウクライナ戦争)」という同じ戦争の二つの戦線と捉えるべきであり、第3次大戦はすでに始まっており、米国はすでにロシアに敗北していると言うものです。人口が米国の半分以下のロシアが米国に勝利しつつあるのは、米国より多数のエンジニアを輩出しているからであり、戦争が長引けば、必要になるのは高価な最新兵器より、大量の安価でシンプルな兵器であり、「久戦」とはこうした兵器をどれだけ多く生産できるかという、生産力の戦いとなり、ロシアが優位に立っているからである。ウクライナ戦争の直前、ロシアとベルラーシのGDPの合計は西側諸国(米国、カナダ、欧州、日本、韓国)の3.3%であったが、3.3%の方が西側より多くの兵器を供給出来たということである。イランも、高等教育の進学率が高く、理系の割合が多く、エンジニア大国である。高等教育終了者のうちエンジニア教育を専攻する割合は米国7%、フランス15%、イランでは30%である。今、真の生産力を示すのはGDPではなく、エンジニア数であるからだと言います。
 また、イランやロシアのエリート層は「集団への帰属意識」責任感を保持し、愛国心となっており、これが国家の重要な資源となっていて、米国より優位にあるとしています。
 ウクライナのロシアへのドローン攻撃には米国が提供する軍事情報が使用され、イランのドローンやミサイル攻撃にはロシアの提供する軍事情報が使われていて、ドローン戦争がウクライナ戦争の形態を再編しています。両方の戦争が過去の二つの世界大戦と比べ、経済戦争の面が強いのは、2つの戦線が緊密に連動しているからであり、北部戦線では米国がウクライナ人とヨーロッパ人を使ってロシアと問題に対峙させている、南部戦線では米国が同盟国であるイスラエルの助けを得てイランと直接対峙しているとのことです。ロシアにとって重要なのは、ウクライナの前線での消耗戦ではなく、南部戦線でイランを支援することにより、西欧を揺さぶり続けることにあると述べています。
 さらに、トッドの見立ては、米国の真の目的は「ロシアの台頭の阻止や」、「中国の台頭阻止」ではなく、欧州と日本の破壊にあるとしています。トッドはヨーロッパ人として米国が欧州を侮辱する光景を日々、目にし、体験し、高市首相を始めとする日本の米国追従は自殺行為であると警告します。さらに日本に対して、米国に従属せずに自立せよ、必要に応じて核武装も考慮すべきであり、イデオロギーよりエネルギー源を重視するべきだ。ロシア、中国、北朝鮮と接近し、忍耐強く対話する必要がある、そうすれば、平和は可能である。
 暑い夏、以上の論点に関してよく考えるのもいいかもしれません。

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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