2012年4月12日
ブログ 吉本隆明氏追悼
吉本隆明氏の追悼
４月となり満開の桜と共に春がやってきました。小学校、幼稚園の新入生の初初しい姿を目にすると心が弾み、初心に戻り頑張ろうという気持ちにさせられます。
しかし、真に残念なことに戦後最大の思想家吉本隆明氏が３月１６日亡くなられました。各新聞、ブログ、雑誌で大きく取り上げられています。
私にとり大きな驚きでした。氏の本に１０代に出くわして以来、５０年に亘ってその書をフォローしてきました者に取り急に羅針盤、心の支えが無くなり、空虚洞感はしばらくの間、拭えそうもありません。
氏は私にとり敬愛する思想家であり、信頼する唯一の師でした。師と呼ばせていただくのは、その昔６０年を過ぎた頃、早稲田の観音寺で自立学校が解さされ、谷川雁、埴谷雄高、村上一郎、黒田寛一氏等と共に講師をされていました。そこに通って教えを受けたから、師とよばせてもらっているのです。よく一生のうち敬愛する人に巡り合えれば幸せだといわれます。私にとりその人が吉本だったのです。氏の書かれた書物、談話、記事全てを集めました。
私が氏に惹かれた理由は氏の持つ人間的魅力、誠実さです。講演を聴いても朴訥な語り口で精一杯時間も気にせず自分の独創的な考えをその思考過程を踏まえて熱心に話されるその態度、ここに信頼するに足る真の人間がいると感じたものです。この思いは１度も裏切られたことはありません。
その次に弛まぬ前進ということです。氏が著書の中で言及された書物にやっとかじりついたと思ったらずっと先をいき新しい考え、書物に言及される。これの繰り返しでいつも後追いで及び難し、でも何とか着いていこうと努力してきました。今も続けています。
亡き後も、自立思想ということで、自分でこの世界を解釈する姿勢を保って生きたいと思っています。