2015年12月 6日

11月のブログ跋扈するIS関連のテロ

 11月のブログ跋扈するIS関連のテロ

 

 

今月は、多発するISのテロについ取上げます。

かねてから懸念されていたIS(イスラム国)のテロが各地で多発して、多数の死者を出し、西欧諸国に大きな衝撃を与えつつあります。

10月にロシア航空機が、ISの仕掛けた爆弾で爆破され224人の犠牲者を出し、他でも起こると警戒最中に11月13日仏国のパリで同時多発テロが発生し、130人の死者と多数の負傷者を出しました。その前日にはレバノンで43人の死者を出し、いずれもISのテロと確定され、その残虐ぶりは留まるところを知らない感があります。

 ISのテロの対象は、シリア、イラクという周辺で主にイスラムシーア派であったのが、矛先が西欧の中心地等へと向かいつつります。これは、ISへの空爆に対する報復であるとする声明命が出されていますが、シリア、イラクでやや劣勢に立たされていることへの窮余策であるともいえます。

 パリは、世界水準のテロ対策を取り、高度の警戒態勢を敷いいていたにも拘らずテロが実行されました。警戒網をかいくぐってのテロ実行は、犯人グループの組織レベルの高さを示し、一匹狼的なテロと異なる恐怖を与えます。同時テロの実行には、組織、メンバー数、資金、武器、情報収集及び交換等のハード、ソフト面での力が要求されます。結果から見ると、残念ながら、犯人はこれらの総合力と実行力を有していたことが明らかになりました。

パリ事件の場合、ロックバンドのコンサート場、サッカー競技場、バーやレストラン等6カ所が狙われ、被害を受けた。公共の場の警備の難しさの虚を付かれた形であり、仏のオランド大統領がISによる戦争行為として避難し、徹底的反撃を宣言しています。しかし、警備の弱体化を晒したことは否めません。これらを機に各国は従来以上のテロ対策の必要性が議論されることになりました。

 空港、駅や公共施設での警戒、テロ対策の人員、設備の増額が叫ばれ、表現の自由の制限、非常事態線発動による権力の乱用、集会の制限、令状なしの逮捕、メール等への盗聴が実施され、国民の自由が大幅に制限される懸念があります。これも、安全と自由は相反関係で、テロの被害への当然の代価とすべきものでありますが、西欧諸国の政府には、2つの守るべき義務があります。市民の生命と自由社会の価値を守るという責任です。テロリストにとっては、このような市民の自由が制限され、恐怖感を抱かせるのが狙いひとつのでもあります。各国の市民は、テロに平然と耐え、日常の自由な生活を維持しつつ毅然とした態度でテロへの対抗策を取ることが必要です。

 現段階での、各国の動きとしては、米国を中心とした有志連合による空爆が強化され、軍事施設のみならず、ISの資金源となる石油関連施設も対象とし経済的打撃を与えることを狙い、実施されつつあります。新たにロシアも加わった空爆の強化は一定の成果を上げると考えられます。また、英国もパリ事件を受けて、ISへの空爆に議会が承認を与えました、ドイツもIS掃討支援を議会で決議し、包囲網が強化されつつあります。

ISに反撃するには、彼等が首都とするシリアのラッカとイラクのモスルを奪還することが必要です。

軍事力という点で、EUの軍事力には限度があり、アメリカは中東での戦争に地上軍での戦闘で血を流す必要性を認めていません。ロシアは自国の権限拡大のみに意欲を見せていましたが、IS空爆に積極姿勢を見せ始めています。これらの世界パワーの弱みを認識しているシリアのアサド大統領、ISはこれらの恩恵を被っていると言えます。シリアとISは、死闘を繰り返していますが、世界の有力国の一致した対応がないこと及びシリア周辺地域の紛争と混乱によってISはその勢力の拡大を図っています。

本来、国連による地上軍ということが可能であればいいのですが、国連にはそのような力がないため、根本的に無理といえます。せめてシリア、イラク及びトルコ等の穏健派イスラムスンニー派による地上軍を欧米の支援で強化する以外になく、それも、かなりの時間を要します。

軍事力以外の問題解決策は、シリアのアサド大統領を退陣させることです。アサド大統領が自国民を攻撃、迫害することに対する怒り、不満に乗じてISがその権力の空白につけこんでいます。アサドの退陣以外にないが、イラン、ロシアの利害がアサドを後押しして解決に至っていません。

また、欧米的視点に立てば、イスラムスンニー派への支援増強です。イランを巻き込んだIS包囲網は、効果的であるのは明白ですが、ISが倒れればイランがその軍事的、政治的影響力を伸ばすことは明白であり、それは欧米的に絶対避けなければならないところに問題があります。つまり、ISの力によりシーア派とのバランスを維持しているため、サウジアラビアとか湾岸諸国がISに経済的等の支援をしているのが実情です。

解決策として未だ議論に上っていないものとして、シリア、イラクの連邦国家化し、スンニー派、シーア派、アラウイ派及びクド人が共存できる体制が考えられます。これの実現に向けての協力体制の構築が早く議題に上ることを期待したいものです。

ISに対する勝利は、極めて困難な問題を抱えています。ISは、23カ国もの言葉使いSNS経由でジハード(聖戦)戦士の募集活動を行っています。IS殲滅に向けての辛抱強い本気での戦いが必要です。それと共に欧米諸国は、第2のISを生みださぬよう、国内の若者の失業問題、外国労働者の適切な処遇、移民同化の問題、経済格差の是正等に積極的に取組んでいかなければなりません。

2015年12月 6日

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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