2012年12月 2日

2012年12月 1日

11月のブログ 読書について

  11月のブログ(今年度の収穫ー書籍)

 

11月も末となり今年も後1ヶ月残すのみとなり、今年を振り返るに際し、本年度の書物の収穫を取り上げます。今年も多数の書物が出版されました。それらの中で、私が読んで興味深く感じた本を幾つか取り上げます。

1.先ず、本年3月に亡くなった吉本隆明の著作です。

「第2の敗戦期」(春秋社)、2008年に行われた3回のインタビューを纏めたもので、現在の政治、経済面における日本人の無気力さをまるで第2の敗戦のようだと捉え、警告する本といえます。吉本隆明の政治・思想の総決算といえるものであり、著者の思索、経験の中核を纏めたもので、云わば著者の遺書といもいえるかもしれません。

2.松崎先之貞著『「語る人」吉本隆明の一念」』(光文社)、編集者である著者が編集を担当した本が刊行される都度、インタビューを纏めたもので、語りであるため分かりやすく、丁寧に話す吉本の一面がみられます。

3.吉本と茂木健一郎の共著『「すべてを引き受ける」という思想』(光文社)、茂木が質問して吉本「が答えるという面白い組み合わせで、両者のやり取りで話が幅広く展開し、新しい知見が得られ、両者の異能振りに感心させられます。

4.中沢新一著「野生の科学」(講談社)、 著者の得意とする人類学と科学が合わさった語り口で、人類の昔から話を展開しており、慌ただしいこのご時世に、気持ちをゆったりとさせてくれる癒しの書物です。

5.佐々木中著「この激烈なる無力を」(光文社)、処女作の「野戦と永遠ーフーコー・ラカン・ルジャンドル」(以文社)以来注目しているのですが、最近では小説も書き始め、その才能を発揮していますが、今回の作は「われわれがわれわれを、変えなければならないわれわれのこの世界を」と強い口調で文学を始め各方面に切り込んでおり、その鋭い言葉に耳を傾けるべき点が多々みられます。

6.トーマス・カリアー著『ノーベル経済学賞の40年(上)(下」(筑摩書房)ノ-ベル経済学受賞者をジャンル別に分け、その特色を経歴、エピソードを交えて述べています。経済学の理論とその背景、その人の異常ぶり等が分かって興味深く読めます。これを読むと受賞の規準とは何なのだろうと思わされます。

その他、ロバート・サービス「情報戦のロシア革命」(白水社)、モイシュ・ポストン「時間・労働・支配」(筑摩書房)、ブラウン「共産主義の興亡」(中央公論社)いずれも大部ですが、新しい視点が加えられて興味深いです。

これらの本を読むことによって得られる世界観に、老いてもなお、知的好奇心を刺激され、読書とは素晴らしいと、改めて思わされました

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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