2017年2月 6日

2017年1月のブログ ― トランプ新政権と今年の展望

2017年1月のブログ ― トランプ新政権と今年の展望

新年にあたり話題のトランプ政権とその影響について述べたいと思います。

1.去年から引き続くトランプショックー選挙戦を通じて明らかなのは、物議を醸すことを好み、混沌を論点のすり替えや批判回避に利用してきましたが今年も尾を引くというより、その実現性の真偽が問われる年になりました。

大統領就任早々、TPPからの撤退、オバマケアの停止、メキシコ都の国境に壁を作るという大統領令に次々と署名をしています。その実行力は内容の良否を別にして感心させられる面もあります。就任演説でアメリカンファーストと何度も繰り返しましたガ、自由と平等、立憲主義の軽視を含む演説でした。このアメリカンファーストの対象となるアメリカ人とは誰なのでしょう。中間層、下層階級の人々でなく、現実には一部富裕層であるようです。

 トランプの任命した閣僚をみると、金融界の大御所ぞろい、トランプ流のポピュリズムの担い手は、億万長者やヘッジファンドのマネージャーです。トランプが推し進めようとする減税や緩和策は富裕層に圧倒的に有利になる仕組みになっています。トランプの発言と実施することは矛盾しているどころか全く逆のことになっています。トランプは、就任演説の最初で政治家を非難して「政府の恩恵にあずかり、その費用を人々に負わせている。」と言いましたたがこの表現はトランプ政権の閣僚等にこそふさわしいようです。

 就任早々で物議を醸したのは、中東・アフリカ7カ国からの入国制限をする大統領令です。このため、米国への入国を拒否され、空港で足止めを食った人が多く出、混乱を招きました。しかし、これに対して各国の首脳、を含め抗議行動が多発しました。残念ながら、安倍首相は、反対の声を挙げず判断る力を欠く米国の言いなりになる一方で、NOを掲げる連邦地裁及び反対の声を挙げる米国民に自由、平等の良心が残っていると安堵感を抱きさせられました。

 

2.市場関係者からの注目度が高い、有名な米国の政治学者イアン・ブレマー氏の本年の10大予測の第1に挙げているのは、Independent America、「独立をしたアメリカ」です。これによって、何が起こるのかという予測について述べられているので簡単にまとめます。世界情勢においてアメリカは、必要不可欠な役割を果たすことはせず、自国の国益だけを重視するため、世界の超大国、G1としてのアメリカの力が弱まり、世界の混乱を招くことが予想されます。これまで、米国が世界の紛争に巻き込まれる恐れはG1である限りなかったのですが、今後は、軍事面でも実力行使をする意志を示したことによって紛争の恐れがでています。また、米国によるリーダーシップと同盟国の連携がなくなることによって、ロシアと中国の野心を抑える手段が減ることからも紛争の頻発が懸念されます。経済面では、産業分野への積極的な国の介入によって、グロ-バル資本主義が行き詰まり、修正を迫られて内向きの施策をとらざるをえなくなっていくと考えられます。企業のみが一人勝ちをする仕組みではなく、企業と社会が価値を共有する持続可能な社会がこれからの基軸とならざるを得ません。しかし、これも以前から必要性は唱えられながら、実現性は後回しにされてきました。今、それが待ったなしとなるのでしょう。日本の諸企業からは切実感が伺われず、内部留保として溜め込むことしか考えていないようでズレを感じます。

 

3.今年は欧州に首長選挙があります。昨年のトランプの勝利に乗って右翼勢力が勝利を収めそうな勢いです。これに待ったをかけるには、中道・左翼連合が協力して対抗するしかありません。しかし、これも難しいでしょう。欧州においても、所得格差の是正、政府の透明化、経済成長と雇用の増加、大企業と金融機関への権力集中の阻止、エリート層と一般層との情報格差の縮小が重要な政策となります。いずれも容易な方策がみつからないが取り組まなければ国民の不満が増大するものばかりです。

 

今年は、経済が成長し、難民が発生しないよう平和、民主主義、平等が世界中に行き渡ることを期待しています。

 

 

2017年2月 6日

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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