2013年11月 5日

10月のブログーグロバリゼーション(2)

10月のブログ  グローバリゼーション(2)

今回はグローバリゼーションについてもう少し詳しく見てみましょう。

1.グローバリゼーションが取り上げられだした時期

グローバリゼーションという用語は、20世紀の最後の10年頃から頻繁に使われるようになりました。それ以前の世界体制は、資本主義国家と社会主義国家の対立として理解することができました。社会主義国家の崩壊により、この構図では理解できなくなり、グローバリゼーションは世界を一つとして考えられるようになってきています。

グローバリゼーションにおける国民国家

・国民国家は、20世紀後半に経済、金融、信用のグローバル化の中、その領土的ガバナンスの終わりを迎えつつあります。つまり、各方面でそのコントロールが効かなくなりつつあります。

 ・経済、政治、技術、文化、情報、犯罪等が国民国家の枠を超えてグローバリゼーションの支配下に組み込まれています。

  例えば、国家の経済に対する政策において種々の制約を受けています。利子率、インフレ率、雇用水準、福祉水準、医療、教育政策への財源においてであります。これらは、全て国際金融からの制約に縛られた政策を採用せざるをえなくなりつつあります。

・地球温暖化、酸性雨、成層圏オゾンの破壊等の環境問題は、国民国家の制約を逃れており、これらの問題に対し新たな国民国家の法・規制・統治の仕組みが必要とされています。

グローバリゼーションのパラダイム

現行のグローバリゼーションは、平等化での人類を一つにするのではなく、人類をバラバラにし格差拡大化に向かっています。

グローバリゼーションは「大きな物語」(大きな未来構想の枠組みで、進歩の先に必ず幸福が来るという人間性の全般的進歩という原理)の終焉と「小さな物語」への変遷を意味するともいえるようです。

グローバリゼーションと資本主義

・資本主義においては、高い利潤を求める資本が野心ある人々にリスクを取って冒険を求めるようにし、これらの冒険集団が周辺を開拓し、そこを市場内部に取り込んでいくことにより社会全体を活性化し、社会を安定させてきました。

・労働市場においては、グローバルな視点での「格差の縮小」は国内的には「格差の拡大」となりつつあります(例:中国の賃金は上昇して先進国との差は縮小しつつあるが、日本では中国との競争で賃金の下方圧力が強まり、正社員を非正規社員で置き換える等により格差の拡大をもたらしています)。

    1996年頃から金融経済が実物経済を上回りつつあり、マネーの動きが経済を決めるようになり、経済の不安定要因となりつつあり、これはリーマンショックに顕著に現れています。

    資本主義の本性の飽くなき利潤の追求に対し、規制による歯止めが求められますが、その結果、経済のダイナミズムが失われる懸念もあります。しかし、金融経済の暴走に対してはより多くの規制が求められます。

グローバリゼーションへの対処(方向性)

  種々の問題を抱える、グローバリゼーションに対する処方箋はあるのでしょうか。

  良い点を生かし、マイナスを修正できればいいのですが、その方向では無理だと言うのが論者の意見のようです。

  現時点における希望は、ラテンアメリカにおける民主化の動きのようです。南米大陸の大国(ブラジル、アルゼンチン)の連合の動きは、新しい民主主義的な基礎の継続的な構成の表現であり、それは新しい世界ガバナンスのプロジェクトの可能性、

つまり世界市場の支配から現行の世界ガバナンスを奪い返し、種々の大陸政府に返還する可能性を示しています。

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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