2012年7月31日

7月のブログ

山下洋輔を聴く(ジャズは格闘技だ

山下洋輔はテレビでおなじみですので「狂いピアノ演奏」で知っておられる方も多いと思います。

40年ぶりで生演奏をサントリーホールで聴きました。彼のスペシャルバンドを率いたもので、しかもボレロ、展覧会の絵というクラシックのポピュラーな演奏主体というものでした。

その昔、よく聴いたのは、新宿の狭く、暗いジャズ喫茶のピットインで、山下洋輔トリオで最強といわれた中村誠一(テナー)森山威雄(ドラム)とのパワー溢れるプレーでした。3人は開演と同時に黒のポロシャツズ、ボン、スニーカー姿で、先を争って走って登場し、そのまま楽器をつかむや、力一杯の演奏を繰り広げる。トリオの演奏は正に楽器による格闘技でした。互いに自分の力を誇示してぶつかりあい、ひるむと置いてきぼりにされたまま演奏は続き、お互いが虎視眈々と自分の出番を窺い、番が来れば力の限り、息の続く限りの演奏を繰り広げる状態でした。

聴く方もガンガンという音に耐え、直ぐ側の席では演奏者の汗だくのしぶきをかぶりながら全身の力を持って聞くと必要がありました。休憩時間、演奏後には耳がじんとしてしばらくは聞こえない状態でした。終わると、そのパワーに圧倒されたが、パワーの一部をもらったような充実感を得て帰途に着くものでした。

 当日の山下は、ゆったりした白の上下で貫禄あるエンターテイナーという趣でした。

選抜した腕の優れたメンバーに、NHK交響楽団のオーボエ首席奏者茂木大輔を加え余裕を持ってのパワープレーを聴かせてくれました。この茂木大輔は山下洋輔の追っかけをしていて、ベルリンに留学中も演奏に来た山下に冷やし中華を食べさせそれ以来親交を深め折に触れ共演をしている間柄です。当日も繊細な楽器を駆使して精一杯のパワーで皆と対抗していてこれも好演でした。

 ボレロはある程度編曲の推測は付けられるが、展覧会の絵はどのような具合かと期待していたが、曲の良い点を取り上げた編曲なかなか楽しい演奏でした。

 矢張り水を得たといえるのは、ビッグバンド向けの曲を全員で熱演するもので。これぞジャズの醍醐味といえるものでした。

 印象は、音楽も格闘技であり、楽器によるバトルであるということです。これを通じて良い演奏が、聴くものに訴える響きが創造されるものだと感じられた次第です。トリオのクールなジャズもいいが、時には破壊のエネルギー発散させる演奏も元気をもらうのも良いものだと思われました。

森島 中小企業 ISO支援オフィス


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