2019年11月 5日
2019年10月のブログ ― 運命の10月を迎えたBREXIT
2019年10月のブログ ― 運命の10月を迎えたBREXIT
本来であればブレグジットの移行期限でその結果について取り上げる予定でしたが、紆余曲折の2転3転の結果、10月31日から2020年1月まで延期されました。この間の混乱ぶりは呆れるといったほうがいいものでした。しかし、一定の方向付けは出ました。
現在決まってることは以下の二つです。
・EUとの合意で離脱期限を2020年1月末まで延期する。
・英国下院は11月6日に解散、総選挙を12月12日に行う。
気になる今後の行方についてまとめてみました。
1. 総選挙すればブレグジットの解決となるか
ブレグジットが1気に解決するにはどこかの政党が過半数を獲得する必要があります。現在、過半数の政党がないため長い混乱を引き起こしました。ジョンソン首相とEUがまとめた離脱協定案は、審議期間が3日間しかないため下院が反発し、現在は保留になっていますが、総選挙で保守党が過半数を取り戻せば、ジョンソン首相の政権運営はしやすくなります。
夏の保守党党首選挙でジョンソソンは「何が何でも10月31日までに離脱すると公約し、それができなければ「溝で打たれて死んだほうがましだ」と発言していました。しかし、実際には来年1月31日まで離脱延期を要請せざるを得ませんでした。これにより公約違反と有権者に批判を受ける可能性もあります。
各政党のブレグジットに対する姿勢
・保守党 :過半数を確保すれば、1月末の離脱期限前に離脱協定案を成立させ、離脱できる。あるいは、過半数あれば合意なし離脱も強行できる。
・労働党 :まず離脱協定をEUと再交渉してから、2度目の国民投票にかける。
・自由党 :ブレグジットそのもを阻止したい。
・スコットランド国民党:残留を希望し、2度目の国民投票を行う。
もしも総選挙の結果、またもや単独過半数の与党のいない、いわゆる「宙吊り議会」になれば、選挙をやっても効果はなかったことになります。
2.2度目の国民投票はあるか
EU離脱の是非についてもう1度、国民に問い直すことでブレグジットををめぐる膠着状態が打破できる可能性はあります。しかし、専門家のチームの検討によると国民投票の実施には最短で22週間が必要ということです。英国の政治では、大半が政府単独で決めることはできず、国民投票を行うには、そのためのルールを下院と上院でそれぞれ過半数で可決しなければなりません。これはかなり困難な作業です。
3.同意なしの離脱はあるか
まだ、あると言えます。
ジョンソン首相は、離脱延期を正式に承認しましたが、これで合意無き離脱の可能性が先延ばしされたことになります。そして、首相は今後も離脱協定案の議会承認を求める見通しで、解散総選挙にうって出た今回のかけが成功すれば、目的は達成できるかもしれません。
一方で、総選挙後に離脱協定案が議会を通過しないまま。1月31日になれば、イギリスは離脱協定条件について合意のないまま離脱する可能性が残されています。
4.ここまでの間に明らかになったこと
・ジョンソン首相の望みが「EUから主権を取り戻す」「かっての大英帝国の栄光よ再び」という時代錯誤的な夢想ものであることが明らかになった。
・英国の政治がEU離脱問題を解決するのに時間がかかりすぎた。
・今回の離脱騒動で2大政党政治が機能しなくなった。EU離脱問題を国民投票に委ねたことは政治エリートである保守党が調整を放棄した結果ともいえます。
このような混迷の中で成熟したエリートの手腕が求められていますが、今はエリートと民意の関係を再考し、エリート同士の対立と強調が作り出す秩序の見直しが求められています。これは英国のみならず日本も例外で無いと言えます。
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2019年10月のブログ ― 運命の10月を迎えたBREXIT
本来であればブレグジットの移行期限でその結果について取り上げる予定でしたが、紆余曲折の2転3転の結果、10月31日から2020年1月まで延期されました。この間の混乱ぶりは呆れるといったほうがいいものでした。しかし、一定の方向付けは出ました。
現在決まってることは以下の二つです。
・EUとの合意で離脱期限を2020年1月末まで延期する。
・英国下院は11月6日に解散、総選挙を12月12日に行う。
気になる今後の行方についてまとめてみました。
1. 総選挙すればブレグジットの解決となるか
ブレグジットが1気に解決するにはどこかの政党が過半数を獲得する必要があります。現在、過半数の政党がないため長い混乱を引き起こしました。ジョンソン首相とEUがまとめた離脱協定案は、審議期間が3日間しかないため下院が反発し、現在は保留になっていますが、総選挙で保守党が過半数を取り戻せば、ジョンソン首相の政権運営はしやすくなります。
夏の保守党党首選挙でジョンソソンは「何が何でも10月31日までに離脱すると公約し、それができなければ「溝で打たれて死んだほうがましだ」と発言していました。しかし、実際には来年1月31日まで離脱延期を要請せざるを得ませんでした。これにより公約違反と有権者に批判を受ける可能性もあります。
各政党のブレグジットに対する姿勢
・保守党 :過半数を確保すれば、1月末の離脱期限前に離脱協定案を成立させ、離脱できる。あるいは、過半数あれば合意なし離脱も強行できる。
・労働党 :まず離脱協定をEUと再交渉してから、2度目の国民投票にかける。
・自由党 :ブレグジットそのもを阻止したい。
・スコットランド国民党:残留を希望し、2度目の国民投票を行う。
もしも総選挙の結果、またもや単独過半数の与党のいない、いわゆる「宙吊り議会」になれば、選挙をやっても効果はなかったことになります。
2.2度目の国民投票はあるか
EU離脱の是非についてもう1度、国民に問い直すことでブレグジットををめぐる膠着状態が打破できる可能性はあります。しかし、専門家のチームの検討によると国民投票の実施には最短で22週間が必要ということです。英国の政治では、大半が政府単独で決めることはできず、国民投票を行うには、そのためのルールを下院と上院でそれぞれ過半数で可決しなければなりません。これはかなり困難な作業です。
3.同意なしの離脱はあるか
まだ、あると言えます。
ジョンソン首相は、離脱延期を正式に承認しましたが、これで合意無き離脱の可能性が先延ばしされたことになります。そして、首相は今後も離脱協定案の議会承認を求める見通しで、解散総選挙にうって出た今回のかけが成功すれば、目的は達成できるかもしれません。
一方で、総選挙後に離脱協定案が議会を通過しないまま。1月31日になれば、イギリスは離脱協定条件について合意のないまま離脱する可能性が残されています。
4.ここまでの間に明らかになったこと
・ジョンソン首相の望みが「EUから主権を取り戻す」「かっての大英帝国の栄光よ再び」という時代錯誤的な夢想ものであることが明らかになった。
・英国の政治がEU離脱問題を解決するのに時間がかかりすぎた。
・今回の離脱騒動で2大政党政治が機能しなくなった。EU離脱問題を国民投票に委ねたことは政治エリートである保守党が調整を放棄した結果ともいえます。
このような混迷の中で成熟したエリートの手腕が求められていますが、今はエリートと民意の関係を再考し、エリート同士の対立と強調が作り出す秩序の見直しが求められています。これは英国のみならず日本も例外で無いと言えます。
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