2016年4月 7日

3月のブログ ー ドナルド・トランプ現象について

    3月のブログ ー ドナルド・トランプ現象について

今月は、進撃が続く米国大統領候補のドナルド・トランプ氏(以降トランプ)について述べます。立候補当時、泡沫候補に過ぎないとされていましたが、相次ぐ予備選の多くで勝利をおさめ、候補者中のトップを奪い、このままでは共和党の候補に選ばれる確率が高くなっています。そこで、この予想外の展開となったトランプ現象について見ていきたいと思います。

有権者の心を掴んでいるトランプの主張の基本は、偉大なアメリカを取り戻すことです。

イスラム国との関係については、「イスラム教徒の入国を完全に禁止する」、移民政策については「南部の国境には壁が必要だ」、在外米軍については「撤退させれば何百万も浮く」,税制改革は「アメリカンドリームを実現できるように財源を増やす」、銃規制は「武器を所有・携帯する権利こそが我々の自由と他の権利を守る」と、賛否はともあれ非常にわかりやすい主張をしています。

 トランプの存在は、政治に無関心な人を選挙戦に引き付けるという現象をもたらしました。トランプの集会には初めて政治集会に参加し、騒ぎを自分の目で確かめたいと言う人が参加する社会現象となっています。トランプの集会参加者の多くは、共和党員でもどの党にも所属せず、政策を聞きたくてくるわけでもない。実業家の大統領を待望する人、選挙資金を献金に頼らない資産家に惹かれる人自分たちの不満や怒りをそのまま表し言葉にするのに期待する人々です。トランプは政治不信への対応し、白人労働者の感情-社会が多様性を深め。競争が激化する中での高まる不安―を理解できるという強みを持っています。 

 今回の選挙では、予備選挙の構造そのものが変わりつつあるにも関わらず、共和党は多種多彩の候補者を揃え、候補者の顔ぶれが大事だという政治のプロの見方通りとなりました。しかし、肝心の共和党支持者はもはやプロの政治家に関心が無くなってしまっているのです。共和党保守派の有権者は、ワシントンの政界と選挙のたびのお決まりの公約に飽き飽きしています。議会の支持率は史上最低の16%になっていて、華麗な政治キャリアの候補は弱点に変わり、旧来の政治から最も離れているような、トランプ氏の勇ましいポーズ、外人嫌い、移民排斥、毒舌、いずれも政治の常識はずれの言動ですが、有権者から歓迎されているのでしょう。

共和党内の事情として、トランプよりはクリントンをと公言する幹部もいるといわれます。今では懐かしい共和党のネオコンもトランプよりはクリントンを支持すると明言しています。これは外交政策で無茶苦茶なトランプよりも自らの主張に近く、イラン、IS等に強硬姿勢のクリントンに付くのも当然と言えるかもしれません。また、保守強硬派のテッド・クルーズよりはトランプを支持する幹部もいます。クルーズは超保守派で、現行の共和党幹部は民主党に優しすぎ、それでは駄目だとする支持母体の突き上げに合わせる姿勢ととっています。当選すれば現在の党幹部は一掃される恐れがあり、その点トランプは交渉上手であるからクルーズほどひどくないという思惑があるのでしょう。又、一部にはクルーズを候補に立てて勝つよりはトランプで負けるほうがましだとする意見も見られるそうです。トランプとクルーズの争いは、いよいよ女性問題に移って避難合戦をエスカレートさせています。一国の代表を選ぶ場でのあまりに俗っぽい週刊誌種的論争を繰り広げています。こうなれば、トランプの方が場なれしていてその方面の勢力もあるので有利でしょうが節度ある態度を望みたいというのが外野席の希望です。

 世界の情勢も選挙戦に大きな影響を与え得ます。欧州初め、米国等でのISその他の過激派による連続爆破テロ事件です。これの対応を巡ってトランプは過激な発言をしていますが、これはオバマ大統領、クリントン、共和党の他の候補は、外交的に妥当な発言をしています。これに対して国民の不満が高まればトランプ有利の形成になる可能性があります。

今後の動きは、共和党主流派のトランプ下ろしをどのような形で実現するか、それにトランプがどう対応し勝利を握るかです。また、トランプが党の候補者に選ばれたとき、共和党の幹部がどのような対応をするかは見逃せません。表面的にトランプ支持、影でクリントンを支援という前代未聞の事態になるかもしれませんので大統領選挙直前までしばらく目を離せません。

 

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


〒194-0045
東京都町田市南成瀬1-2-1 成瀬駅前ハイツ2-1005号
TEL: 042-723-1478    FAX: 042-723-1478