2018年6月11日

 5月のブログ ー 米朝首脳会談について

       5月のブログ ー 米朝首脳会談について

今月は迷走する米朝会談を取り上げます。3月にトランプ大統領が金正恩労働党委員長の要請により米朝首脳会談を行う予定という衝撃の発表の後、情勢はめまぐるしく変化しました。米朝の激しい避難、応酬、これで首脳会談は中止かと思われましたが、5月に最初の予定通り6月12日シンガポールで米朝首脳会談を行うことが決まりました。これぞ外交交渉というべきものでしょうか、表では激しい応酬、その裏では実務的交渉を行うという外交の正道なのでしょう。それにしても両首脳の会談予定が発表されて以後の中止、再開に至る迷走ぶりは、トランプが外交の素人ぶりを発揮しているのかと思われました。

両方が首脳会談に固執するのにはそれなりの事情があるのでしょう。米国にとっては北朝鮮の核攻撃の危機及び外交成果を上げて中間選挙を有利にしようとの狙いがあると思われます。北朝鮮側には金正恩朝鮮労働党委員長の体制維持と荒廃する経済により困窮する国民の救済です。両方の課題とも、トップとしては死活問題と言えます。核兵器の開発に成功した北朝鮮に核兵器の廃絶を武力で迫るには朝鮮半島での全面戦争の覚悟が必要になります。これを避けるには外交交渉によって北朝鮮の攻撃的意思を緩和させ脅威を除去することが必要となってきたのが会談による折衝に到った最大の要因でしょう。

1.北朝鮮の立場

 北朝鮮の要求は、金正恩の体制維持と経済制裁の解除です。経済危機で国民は飢餓状態と言われるほど貧しい状態にある上に、経済制裁でいっそう悪化しているので国民の不満をそらすため、経済制裁緩和の糸口を見つけるのが緊急の課題となっていると考えられます。金正恩は核兵器、ミサイルの開発に目処が立ち、一時不和となっていた中国との縁を取り戻し、その支援が望めるようになりました。また、ロシアとも良好な関係を築いていて以前より強い立場で階段に望めることと思われます。これらのことからも、会談が失敗に終わっても失うものは少ないと言えます。

北朝鮮の生命線とも言える核を廃棄するにしても段階的に行うという立場を取るはずです。完全廃棄をした途端に丸裸同然となり、体制維持と経済制裁解除が実現されていなければ、単なる弱国として米国の一撃に壊滅ししまう可能性は十分にあります。核兵器廃棄魔を段階的に行うという時間稼ぎで、どこまで頑張れるかが会談の見所となると言えましょう。

2.米国の立場

 米国としては、北朝鮮による米国本土への核攻撃を避けるため、即時、核兵器の廃棄が要求事項となっています。時間を置けば兵器の性能と数量が増加するためことになり米国への脅威は増加するからです。他の狙いは、北朝鮮を市場として経済的支配を拡大することも挙げられます。貧しい市場であっても生長するにつれ市場も拡大するため、この市場を、中国、ロシアより先に確保することが狙いと言えます。本来ならば、北朝鮮を武力攻撃したいところですが、北朝鮮は1分間に1万発のミサイルを発射する能力を有しているといわれ、戦争となればソウルは火の海となり、米国人を含めて1万人の死者が出ると言われています。韓国、日本との関係を考えれば犠牲が多過ぎるため回避せざるを得ません。

 北朝鮮に核兵器の完全廃棄を米国が求めていますが、考えてみればおかしな話です。自分のところは廃棄せず、ロシア、中国にも廃棄を要求していません。何故これらの大国には許されるのでしょうか。これは大国の横暴としか思われません。

3.日本の立場:

 安倍首相は従来より「拉致問題が解決に向かうまで対話は始めない」という立場を崩していません。このめまぐるしく変化する海外の政治情勢に中でどこまで対応できるのでしょうか。従来の立場を堅持するのも大切ですが、行き詰まったままの拉致問題を打開する方策も検討すべきでしょう。安倍首相はトランプと大統領と連絡をとったりするだけで何ら独自の路線立場を明確に打ち出していません。「自分の国は自分で守る」という安倍首相の言葉は武力のみではなく外交面交にも適用されるべきですが何ら実行されていない状態です。できることなら日本の安倍首相がイニシャティブを取り北朝鮮の金正恩労働党委員長、韓国の文在寅大統領、米国のトランプ大統領、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領の6者の会談を提案して6カ国が相互不可侵を取り決め北東アジアの安定を目指して安全保障条約の締結を目指すことを提案できれば建設的であると思われます。それによって、拉致問題にも新しい展開が開かれる可能性もあります。

 

 米朝首脳会談によって核兵器の廃絶、朝鮮半島を含めた北東アジアの安全保障が飛躍的に高まり平和がもたらされることと全ての国の核兵器が廃棄されることを望みたいものです。

 

 

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


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