2018年1月 4日

12月のブログー今年を振り返って

12月のブログー今年を振り返って

今月は、2017年の最後ですから、今年を振り返り、来年の展望にも言及したいと思います。取り上げるのは、今年の私にとっての重大ニュース、今年読んだ本の収穫です。

1. 今年の最大のニュースといえば、天皇陛下の退位表明に基づき退位が現実化したことです。これに一番関心があるのでこれについて取り上げます。

2016年8月8日今上天皇は自らの退位を示唆するビデオメッセージを発表され、今年6月に天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立し、2019年4月30日に退位され、5月1日に新しい天皇が即位されることが決まりました。今上天皇(在位中の天皇の意味)は、皇室の継承のため退位の意向を決断されましたが、天皇が訴えられたポイントは、象徴天皇のあるべき姿はなにか、皇位を将来にわたってどう安定的に継承していくかにありました。

 天皇制の基本は、「血(血統)の原理」と「霊位(天皇霊)の原理」の二つの原理があり、天皇を天皇たらしめているのが「祭祀による皇霊の継承」というフィクショナルな原理です。その継承者は血統の原理に基づきます。象徴とは宗教的な権威であり、宗教的権威とは祭祀紀を行うマージナル(境界的な王という事です。天皇制が長く続いたのは政治権力と宗教的権威の2元システムによるためです。

 今上天皇は、天皇は国民をまとめ、非政治的な機能を負うべきという昭和天皇のお考えを若い頃から身近で見ていてそれを強い意思で果たされてきました。現人神でない天皇像を追求すると常に国民と共感共苦し行動し続ける天皇像になります。昭和天皇が戦後の巡航でお示しになった姿勢がそれと言えます。今上天皇も戦没者の慰霊をはじめ、特に災害の時代でもあった平成でその姿勢を継承し邁進されました。皇后とともに被災者と向き合うお姿は頭の下がる思いでな眺めざるを得ないものがありました。

近代天皇制によって天皇の生涯と元号が一体となる制度が作られましたが、今後は崩御を伴わずに元号が変わる状態が生まれることになります。これで元号の意義が薄れてきます。昭和天皇が崩御された際、歌舞音曲(華やかな芸能・芸術活動)を自粛し、世界が暗闇化したような状態で喪に服す特別な経験を国民で共有しました。あの劇的な変化で昭和の終わりを経験したため、平成は次の御代になって5年、10年経って後、あるいは今上天皇が上皇となって崩御されるまで平成という感覚が拭えないかもしれません。

 改めて振り返ると、今上天皇は「開かれた皇室」、「人間天皇」を徹底されて、戦後民主主義、平和主義の守護神のように、発言、行動されてきました。これに対し、安倍首相の姿勢、言動は勝手な国民不在で我が道を行くものした。今後、今上天皇の築き上げた重しがなくなり、安倍首相が一層独走することがないように願いたいものです。

 

2. 今年も本は読み、目を通しましたが収穫本は、あまりありませんでした。

(1) ロシア革命100年、資本論発行150年関連の特集、書物

ロシア革命100年に関する記事は、年数も経ち、新しい、事実、資料の発見に基づく議論がされていて、昔熱狂して読んだのとは違った意味で興味をそそられるものでした。今のロシアに関して最新の思想潮流が述べられていますが、ロシアにおいても極右の思想の横行、ナショナリズム、ソ連時代の負の遺産としてのナショナリズム、結果として強いロシアへの渇望でプーチンへの高率の指示それに対する勢力の無力が読み取れます。何故か昔から、ロシア関係の本を読むとき暗い気分になりますが、今も変わりません。西欧に対するスラブの自由の思想、議論がどの程度あるのか、ロシアの豊かな思想が新しいものを生み出しているのかは見えませんでした。しかし、現代ロシアで注目され、プーチンにも影響を与える活躍しているアレクサンドル・ドウーギンという第4の道を唱える理論家は、経歴もいかがわしく、ドストエフスキーの小説主人公のようで今後の動向に注目したいと思います。

(2) 市田良彦・王寺賢太「ポスト68年と私たち」ー現代思想と政治の現在

1968年の、全共闘運動、フランスのパリで起こったゼネストを中心とする反体制運動とこれに呼応する学生の闘争、5月革命であり、日本では日大、東大を主とする全共闘運動が世の中を動かしました。この運動の盛り上がりを、どう捉え、現在に繋げるかを問う本です。フランスでは、当時の主力メンバーが今も大学教師、哲学者として研鑽に努めている。その大半はフランスの極左の毛沢東派として活躍したメンバーです。活動家には新哲学派とか右翼に転向するのは日本と同じです。日本では、1時期活躍した人も極一部を除き関係をなくしています。この本を読むことで、思想文化の西欧の伝統の深さを感じると共に、我が国の一時の流行で済ませられる文化、伝統の浅さを感じました。

 

来年は、平和で豊かな年になるよう期待したいものです。

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


〒194-0045
東京都町田市南成瀬1-2-1 成瀬駅前ハイツ2-1005号
TEL: 042-723-1478    FAX: 042-723-1478