2016年11月 3日

10月のブログ-歌劇「魔笛」について

     10月のブログ-歌劇「魔笛」について

 

今月は、芸術の秋に因むわけでもないのですが、モーツアルトの歌劇「魔笛」を聴きに行ったので

これについて述べます。CDで聴いたり、テレビで見たことはありますが、生のオペラを観劇するのは初めてでした。舞台の手前で、オーケストラがボックスに陣取って演奏する光景は、テレビで見ましたが、実物で見るのはもの物珍しく身近に見て聴くことができました。オペラは、ストーリーは分かっていても、どういう演出をするか、どのような声を聞かせるかを楽しむことができます。

魔笛のスタートは、大蛇に襲われる場面ですが、これをどう扱うのかに興味がありましたが、今回は、大蛇が退治され、主役の応じタミーが横たわり眠っているところから始まりました。

魔笛は2幕で構成されていて、その粗筋は次に述べるように単純なものです。(HPわかる!オペラ情報館より抜粋)

【第1幕】

時は古代エジプト、王子タミーノは岩山で大蛇に襲われ気を失います。「夜の女王」配下の3人の侍女達に助けられます。狩猟中にたまたま通りかかった鳥刺しのパパゲーノが、助けてやったのは自分だと嘘を付き、侍女達によって、口に錠を掛けられます。王子タミーノは、侍女達から女王の娘パミーナの絵姿を見せられ一目惚れします。女王は、悪人ザラストロに捕らえられた娘を救い出してくれれば、娘を王子に与えると約束します。王子は侍女達から困ったとき用に「魔法の笛」を受け取り、ザラストロの神殿に行くことにします。パパゲーノも行くことになり、「魔法の鈴」を受け取ります。

 ザラストロの神殿で離ればなれになってしまったタミーノとパパゲーノ。パパゲーノが先にパミーナを見つけました。その後、魔法の笛と鈴の力で導き合ったタミーノとパミーナは、ザラストロの前で対面し、運命の人だと思います。実はザラストロは悪人ではなく偉大な祭司で、世界征服を企む夜の女王の邪悪な野望の犠牲とならないようにパミーナを保護していたのでした。

【第2幕】

ザラストロはタミーノに、パミーナを得るための試練を与え、パパゲーノにも恋人を得るために試練を与えます。最初は「沈黙」の試練。沈黙するタミーノに、事情を知らないパミーナは深く悲しみますが、立派に耐え抜きます。相次ぐ「火」、「水」の試練を、タミーノとパミーナの二人で「魔法の笛」の力を借りて乗り越えます。一方のパパゲーノは、辛抱するのは苦手で、試練から脱落してしまいますが、「魔法の鈴」の力を借りて、若い娘パパゲーナと出会い、恋人になります。この成り行きに、夜の女王は黙っていられず、侍女達とともに、ザラストロの神殿に侵入を試みますが、雷に打たれ闇夜に落ちていきます。ザラストロは試練に打ち勝ったタミーノ、パミーナたちを祝福して、太陽神の子オリシスとイシスを讃え、めでたしの幕となります。

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このようにストーリーは、メルヘン調でストーリーとしては辻褄が合わない点が指摘されています。最初、悪人としていたザラストロが後では善人として扱われる等です。これは、モーツァルトと台本を書いたシカネーダーの二人が、当時流行っていた秘密結社「フリーメーソン」という一種の宗教の信者で、作品にその教義を盛り込んだため、少し混乱してしまったのではないかと言われています。

フリーメーソンとは「自由な石工」という意味で、秘密結社と言われますが、現代でも欧米を中心に600万人以上の会員を有する世界的組織です。その活動は、地域によって異なり、ドイツ・オーストリアでは、中・上流階級の親睦と精神修養の場であり、アメリカでは、病院や福祉団体に多額寄付をする慈善団体、親睦団体という性格が強く、モットーは、自由、平等、友愛でフランス革命と同じです。この団体の目に見える特色は、参加儀礼の儀式性と生かし制度=徒弟、従者、親方の3位階です。フリーメーソンの影響は、オペラにも現れています。フリーメーソンの秘数は3であり、侍女、童子は3人であり神殿は3でありタミーノの試練はフリーメーソンの参入儀礼を模していると言われています。

主役はザラストロで、神の意志の実現を図ります。その説く意味を真剣に考えていると、息苦しくなってきます。魔笛の特徴は、モーツアルトの他の歌劇、「フィガロの結婚」、「ドンジョバンニ」などと違って明るく、軽快であるのと違って重々しく、重厚であるといえます。ベートーベンの歌劇「フィデリオ」にも通じるものがあるといえば言い過ぎでしょうか。晩年に、モーツアルトが自己の精神,思想を込めてザラストロを通じて自らの考えを伝えかったのだと思わされました。モーツアルトの作品が、時代を超えて私たちを魅了し、感動を与えるのはモーツアルトが音楽の美を追求した結果なのでしょう。

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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