2017年8月 7日

2017年7月のブログーマクロン大統領は救世主か

                

2017年7月のブログーマクロン大統領は救世主か

今月は、フランス革命(発端となったのはバスティーユ監獄襲撃)が7月であることも踏まえ、フランスの新大統領マクロンについて、仏及びEUの希望の星足りうるかについて述べたいと思います。マクロン氏は39歳、ホランド前大統領のもとで経財相を努めました。大統領選挙では第1回投票で24%と有効投票の過半数を満たさなかったため、決選投票に持ち込まれ、マリーヌ・ルペンを降して66%を獲得し、当選しました。さらに国民議会(下院)選挙では、彼の起こした中道政党「共和国前進」が308議席を獲得し、提携する「民生運動」と合わせて350議席の安定多数を獲得しました。

マクロンの政策・見

(1)  マクロンの掲げるのは左でも右でもなく中道で、左派と右派のいずれからも良いところを取り入れるという立場です。フランスでは特に左派、右派のこだわりがあり、これに政党間の門題が関わり、政治を退廃させ、国民から政治・政党不信を招いていたと言えます。これを打破するのがマクロンだということで国民の投票を獲得しました。

(2)  マクロンは、EUを重視し、仏がより強くなるため、様々な難題に立ち向かうためのすべてをEUがもたらしてくれると信じています。同時にEUの改革の必要性を訴え、具体的には独との強固な関係構築であり、通貨統合より進んだ共通予算などの財政政策の採用を訴えています。

  独は仏に構造改革と財政再建、仏は独に貿易黒字の相当部分を域内に積極的に投資するよう訴えています。これは長年の懸案であり、マクロンの腕の見せどころと言えます。

(3) 若年層の失業率は10%以上と独の倍以上になっており、これが解決すべき最大の課題です。対策として雇用増大のため、市場及びビジネスの開放を訴えています。

(4) 貿易と移民に関して両者ともフランスを活性化するものであり、仏にとり必要なものと位置づけています。

今後の展開予想

懸念された議選挙も、マクロンが立ち上げた中道政党「共和国前進」が308議席、連携する中道政党「民生運動」と合わせて350議席を獲得、定数が577議席で、安定多数を占めたことになります。旧政権の社会党は30議席と9割の議席を失う壊滅的敗北です。共和党は期待されたが112議席、大統領選挙で大健闘した急進左派のメランションの党「不服従のフランス」は17議席、協力関係にある共産党は10議席、ルペンのFNは8議席でした。

大統領、議員選挙を通じて明らかになった点は、国民が自分たちを見捨ててきた政治層に対して立ち上がり、ノーを突きつけた結果が顕現化したということです。・

第1回大統領選挙に立候補した11人のうち継続性のある政策の提案をしたのは3人だけで、今の政治にノーをつきつける「反体制派」の得票率が50%に達しました。白票や棄権表を加えると「反体制派」が過半数を占め、これは国民の怒りや不満が危険水域に達していることを示しています。また、マクロンの当選は他の候補のスキャンダルや第2回投票で反ルペンの表が流れてきた結果であるとも言えます。フランスはこれまで中道左派と中道右派が交互に政権を担うという実績を築いてきましたが長引く景気低迷に有効な手を打てず、国民の不信を招きました。この不満お受け皿にマクロンがなったと言えます。

 マクロンが成功するかどうかは優れたアイデアと、実行力があることを具体的に示せるかどうかにあります。仏、EUからのマクロンへの期待は大きい、これに失敗すれば、国民は絶望し極右のマリーヌ・ルペンに向かうという最悪のシナリオしか残されていません.その面ではマクロンの力に期待されます。

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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