2016年1月 6日

12月のブログ 本年の回顧

              12月のブログ 本年の回顧

 

早いもので、年末を迎えました、年々1年過ぎるのが早く感らじれます。

今回は、恒例の1年の回顧として、印象に残ったニュースと書物の本年の収穫を取り上げます。

1.本年の重大ニュース

欧州での難民急増とIS等過激派によるテロの2つを取り上げます。

(1)欧州でのシリアからの難民急増

 これは、ブログで何度も取り上げましたが、西欧大国の無責任な行動により、直接関係ない人々が割を食い、住み慣れた土地を追われ、欧州へ難民として、あてのない旅を強制されているということです。20世紀初頭に、西欧大国間の勢力争いの妥協の結果として、勝手な国境線が引かれました。線引きの結果生まれた国家が、西欧のスタンダードに合わないという理由だけで「自由と民主主義」を守るという口実で政府を転覆させられました。その結果、問題がありつつも保たれていた安定、秩序が破壊され、無政府状態となりました。強権で抑えられていた秩序が、民族、人種、宗教間の収拾のつかない紛争が泥沼化しても、責任者の歐米諸国は、一切構わず成り行き任せに放置していました。これに乗じてスンニー派のイスラム国(IS)等の過激派、シーア派のイランが勢力を拡大し、混乱を拡大し、事態を複雑化させました。迫害され、住屋を失った人々は、欧州諸国、イギリス、ドイツなど移民に優しい国を目指して大移動が発生しました。当然、目指す国にばかり行けるわけではなく、簡易船で海を渡った人は、溺れて犠牲となる人も多数になりました。希望する国へ行き着くことができず、結果として最寄りの国で滞在することにならざるをえません。これが不況下にある欧州の国々に、難民、移民排斥問題等種々の問題を引き起こし、右翼勢力の拡大を招いています。難民は、厄介扱いを受け、安住の地とは程遠くなっていて、問題を深刻化させています。歴史的にみても、欧州の大国が自ら種を蒔いた結果です。この難民問題に関し、責任を持って解決するのが各国の指導者に要請されます。それなくしては、難民の数は増え、難民問題が深刻化するのは必至です。

 来年は、難民問題が解決し、難民が減少すること及び移住済の難民が安らかに遅らせるようになることを祈らざるを得ません。

(2)テロの多発

 今年は、イスラム過激派系のテロが多発し、多くの死傷者を出し、沈静化する兆しも見えません。

仏デノシャルリー・エブド襲撃事件、11月13日のパリ同時テロです。テロの主力は、イスラム国(IS)関連で、仏では、デノシャルリー・エブド襲撃事件、11月13日のパリ同時テロで130人門死者を出しました。ISの狙いは、ISを中心とした世界イスラム革命を起こすことです。

アメリカで発生したテロのように犯人が国内で培養された者である場合は、ほとんど防ぎようがないと言われます。日本も、ISから見れば爆撃には参加していないが、資金を提供しているわけですから、ISから見れば有志連合の一員であり、当然テロの対象となります。日本としては、従来以上に他人事してではなく、警戒を強める必要があります。日本は,テロの被害者にならにように、危険な外国の地域に近づかないこと、テロの加害者にならにように日本を脱出してISに参加する者を阻止する必要があります。

2.今年の書物の収穫

今年はあまり収穫が無かったと言えます。これは面白かったと言えるものが少ない年でした。これは,書評新聞、各紙の書評欄を見ても共通して取り上げられる本がほとんど無いことが証明しています。

収穫として敢えて取り上げるとすれば、ガイトナーの「ガイトナー回想録」、ローラン・ジョフランの「68年5月」、大江健三郎、古井由吉の「文学の淵を渡る」です。

・ガイトナーの回想録は、財務長官、ニューヨーク連銀総裁として米国の金融危機に対処した経緯を分かりやすく説明しています。対人交渉、個人の悩みなど吐露されていてこの種の金融問題を扱った 本としてはわかりやすく、事件の経過が詳細に述べられていて参考となりました。

・「68年5月」はフランスでの学生運動を取り上げていますが、日本の学生運動との対比で興味深い本です。当然左翼の諸党派の勢力争い、つきものの大言壮語、一人よがりの現状分析、労働者との連帯、政府、学校側との折衝が克明に記されていて、物語として面白くありました。イデオロギー、路線上の対立がありながら、内ゲバまで行かず1線で留まる余力、運動の重視の視点で妥協する各党派、指導者の柔軟な視点と指導力、責任感が強く感じられました。対する学校側は、日本と変わらずのようです。政府側は、激烈なドゴール派の権力闘争、主導権争いがありますが、エリート層の余裕か学生、左翼の運動をある程度理解して対処している様子は伝統というか成熟感が感じられました。これが、仏を含む西欧で左翼が政治勢力として一定の勢力を維持している根拠なのかと思いました。

・「文学の淵を渡る」は、大江、古井の文学の両巨匠がその薀蓄をかたむけて丁々発止とやり取りする様は、さすがとその年輪の重味を感じさせせられると共に、更に新たな知を求めて前進しようとするその前向きの姿には頭が下がる思いです。

 

最後に、来年こそは、世界が平和で豊かな年になりますように祈りつつ新年を迎えたいと思います。

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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