2015年4月14日

3月のブログ ー イスラム国について(2)

         3月のブログ ー イスラム国について(2)

 

イスラム国について再度取り上げます。イスラム国はイラク第2の都市チクリットを占拠していましたが、イラク政府軍に奪還されつつあるとしてその勢いの陰りを指摘されています。他方シリアでは勢力を拡大しつつあるので全体としてはまだ勢力を維持しているようで依然として余談を許しません。今回取り上げるのは2点で。1. イスラム国が国家を建設したということ、2. イスラム国を殲滅すれば中東の問題が解決するかという点です。

 第1 ISILの国家の建設、

過激派組織ISは2014年6月24日にイスラム国ISILの樹立を宣言しました。アルカイダその他のグループは過激派組織としては存在し、その勢力を拡大しつつありますが、国家建設を目的とせず専ら欧米へのテロを指向しているようです。ISは単なるテロ組織ではなく本格的にイスラムシーア派の国家を設立使用という意図があるのでしょう。その意味で志は高いといえます。国家を設立し維持するには実務経験豊かな官僚の存在が不可欠です。イスラム国にはこの人材, イラクの旧サダム政権を支えたバース党の官僚が揃っていました。彼らは政権崩壊後、シーア派を主体とするイラクの政権下で冷や飯を食わされていました。官僚は自らの力を維持、拡張する本能が有りますから、権限を縮小されその力を発揮できないことに、耐えられなかったことは容易に推測されます。イスラム国建設を絶好の機会と捉え捲土重来を図っています。その手腕と残虐であっても治安と安定を求める民衆の要望が一致してイスラム国を維持していると言えるのでしょう。それにしても官僚の力には国を問わず恐ろしいものだと感心させられます。国家樹立を宣言してから10ヶ月あまり存続してきたということはある程度の基盤を確立しつつあることを示しています。絶えず集まる戦闘員と石油資源、身代金等の強奪資金も豊富なため内部の分派闘争で戦闘が起こらない限り自壊すような様相にはありません。テロの発信基地として宣伝活動等その勢いは他の過激派組織を圧倒して過激派の盟主の位置を獲得しています。

この中東の癌ともいうべきイスラム国にどう対処するかという問題が生じてきます。

イスラム国の今後に関して3通りが考えられ、1.現状維持する 2.中東の盟主として君臨する 3.敗北して壊滅するがあります。現在、誰もが望むのは3.のイスラム国の壊滅です。

そこで次にイスラム国を壊滅すれば問題が解決するかかという点についてまとめてみました。

2.イスラム国を滅ぼしても問題は解決しない?

 イスラム国に対して現在、イラク政府軍、クルド族軍が中心になって攻勢をかけています。米国も空爆で支援をしていますが、これを空爆のみによって滅ぼすことは不可能であることは米国も認めおり、あくまでも地上軍による決戦に勝たなければイスラム国に勝利することはできないとされています。この戦いは4,5年を要するとみられる息の長い戦いを強いられます。

 イスラム国が戦闘に敗北して国が消滅したら正義の勝利として幕引きができるのでしょうか.それで済めば万々歳ですが、そういかないという懸念があります。イスラム国を滅ぼしてしまうと言うことは、再度元のISISとしてアルカイダと同様過激派グループとしてネットワークを形成する組織として各地に拡散させてしまい、世界各国への脅威となる危険を有しています。つまり、国単位から一人一殺のネットワークを作り出す恐れを生じ、一層始末に負えない事態を招きかねないことを覚悟しなければなりません。それは、イスラム国を滅ぼしても現在の混沌とした中東の問題が解決せず、さらに悪化しかねかねないという恐れがあります。過激派組織ISILがイスラム国を設立したことは漠としていた組織が顕在化し、可視化できるようになったことで対応が容易になった状態をまた、元の状態に戻すことを意味します。イスラム国を現状で国として承認し、固定化する方向で取り組むのが最善の策ではないかと考えられます。北朝鮮、キューバ、ヤンマーのように孤立して国とした存続させ、次第に軟化するのを待つのが一番適切な道ではないかと思います。

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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