2014年4月 5日

3月のブログーウクライナ問題について

    3月のブログーウクライナ問題について

 

 ウクライナでは、親ロ政策を取る大統領に対して親欧米政策を望む国民が反発して暴動を起こし、大統領が逃亡して、親欧米政策を取る暫定大統領が選ばれ、5月に改めて正式の大統領選挙を行うことになりました。これが、新たなオレンジ革命の達成かと思われましたが、ロシアのプーチン大統領の横槍が入り、国民投票が行われました。その結果、ウクライナの一部のクリミア(ロシア人が多く親ロ的)をロシアの1部として圧倒的多数の賛成でロシアに併合されることが決まりました。プーチン大統領もこれを正式に認める手続きを議会の承認も得て決定しました。

これに対して欧米及び米国は、国際法上クリミアの併合は認められないとして、ロシアに各種の制裁を課そうとし、ロシアもこれに対抗措置を取るということで泥仕合化してきています。

 これはいうまでもなく、民族問題、ナショナリズムの問題であり、線引きされた国単位を選ぶか、血のつながる民族を選ぶかという問題であります。これに経済格差が結び付き問題をいっそう複雑にさせています。

 この事態に対し、私たちはともすれば、親欧米的マスコミ報道によって親欧米的見方に陥っているのではないでしょうか。欧米=ウクライナが正しく、ロシア=クリミアは間違っているという観点の報道が目につきます。紛争には必ず、利害得失があり、そのバランスをどのように取るか解決のポイントになります。

わが国は、米国の影響のため、親欧米の論調一辺倒であり、これは公平性を欠くといわざるを得ません。

 プーチンの行動は、ロシアの国民感情に即応するきわめて効果的なものであります。つまり、ロシア人は、国内政治的にはいくら批判的であっても、こと外交問題、特に自国が攻撃されるような場合は一致結束して指導者を擁護するという極端な姿勢が顕著に現れます。今回も、通常プーチンの非民主的姿勢に抗議する反体制派もウクライナ関連の動きに関しては、プーチン指示で固まっており、支持率も低下傾向にありましたが、一転圧倒手金高い82%の支持率へと変わりました。この動きの背景には、旧ユーゴスラビア紛争の苦い経験の反省があるのでしょうか。旧ユーゴスラビア紛争の際には、欧米のマスコミの宣伝の影響でボスニア=善、セルビア=悪の風潮が広まる中、ロシアの同胞たるセルビア人がNATOの空爆になす術もなく倒れていった事実が今回悪夢として蘇り、欧米の横暴に屈してはならないという血縁意識が多数のロシア人に蘇生した結果でありましょう。

 欧米よりのウクライナ人は、欧米の自由と繁栄を望んで、欧米よりのスタンスを取ろうとしますが、それにはそれなりの覚悟が必要となります。先般、オレンジ革命の結果、ソ連邦の軛を脱したまでは良かったのですが、指導部たちは、汚職、公私のない堕落振りに国民の信頼をなくしてしまいました。この過去20年の失政の結果、国家の財政は破綻し、緊縮政策という試練を受け入れざるを得なくなっています。これは、ギリシャで生じているのと全く同じことです。債務不履行(デフォルト)を避けるためIMFEU、米国から約270億ドル(約2.8兆円)の緊急支援を受けざるを得ず、これを受けるための前提条件だからです。

 これは、新興国に見られる共通の弊害であり、正しい規律、規範を学んでいない結果であります。結果として一握りの人が膨大な富を築き、大多数は貧困のままと言うのが通例です。これも進歩へのステップかもしれませんが、その代償は大きいと言わざるを得ません。

 

 では、グローバリゼ-ションの下のナショナリズム、民族問題にどう対応すればいいのでしょうか。

その昔なら インターナショナルな視点で対応ということでしょうが、現在ではコスモポタリニズム(=「わたしたちの誰もが、どこにいようとも、生き、愛し、夢を見る権利を持っているし、すべての人がこうした権利を持つような世界にあこがれる」)ということを唱えるコスモポリタニズムということになるのでしょうか。

 当事国が現状を共通の歴史的課題に直面していることを理解し、国家レベルの解決と主権要求と、国家を超えた協力という条件を合致させるために政治的な枠組みや座標を作り出すことが必要でしょう。

 解決策としては、コスモポリタニズムのコモンセンスということになるのでしょうか。国境を超えてお互いを良く知り合い、自分たちを他者の目を通して見ること、憎しみとその原因を理解し、矛盾や不確実性、不安と共に生きるということを学ぶ必要があるということです。

 グローバル世界においては、ナショナルな単独行動によってではなく、多国家の政治の自覚的に結び付けられた国家間の協力ネットワークによって実現される必要があります。

 現実問題として、ロシアにとっても、クリミア半島の併合は、経済的にも軍事的にも価値の少ない土地と引き換えに周辺諸国の不信を買う結果になっています。長期的には、プーチン大統領にダメージを与えることになるでしょう。相互の制裁は、ロシアと欧米との双方の経済に損失をもたらします。早急に双方の話し合いによる解決を望みたいものです。

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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