2016年12月 7日

11月のブログ ― トランプの勝利、クリントンの敗北について(1)

 11月のブログ ― トランプの勝利、クリントンの敗北について(1)

今月は、米国史上最悪の大統領選―口を開けば差別的発言ばかりか飛び出すトランプVS嘘つきというイメージが定着してしまったクリントン ー において正に衝撃の結果となったトランプの勝利、クリントンの敗北について述べます。

マスコミ等のメディアの予測がことごとく外れましたが、何が原因だったのでしょうか、過去の統計、資料が通じなくなる新しい時代に入ったのでしょうか。それにしては、私たちの周りにはそのような変化が感じられません。

 

クリントンの敗因

 最大の敗因は、女性に対するガラスの天井にあったと考えられています。能力、資質、人間性を備えたクリントンは、正反対のトランプに敗れました。女性であるが故に多くの障害に直面し、乗り越える努力をしましたが、唯一しなかったことが命取りとなりました。それは「既存の政治に見捨てられたと感じている有権者に向きあい配慮することこと」です。サンダースの出現が、若者をしてクリントンに攻撃をむけさせることとなり、クリントンは、それらの声を取り込むことができなかった。理想とビジョンを示さず現実主義を貫いたことが若者を初め有権者に新鮮さを与えることができなかった、これはオバマ大統領に予備選で敗れた時からの課題位でありましたが、解決できませんでした。

トランプの勝因

混迷と不安の時代にマッチしたこと、真実を語ったこと、嘘でもいいから問題点の解決策を提出したこと、ポピュリズム(大衆迎合主義)に徹し、大衆の方向付けに成功したことです。出来もしないことでも言い続けることにより、人々をその気にさせることに成功したことです。男性であるため、ガラス天井は存在せず、女性に対する性的嫌がらせは、男性にとっては勿論のこと女性にとっても問題にならないようになった時代に登場したことです。

 

選挙の結果の影響

・多くの米国民を引きつけた「米国第一主義」という方針は、外交面で他国と摩擦を引き起こしかねないしょうでしょう。多国間主義を捨てる恐れは、危機がどこかの国で起きたとき、世界は有効な手立てを打てないことになります。

・正義と理想が米国精神の第一で、若い国民が正義と理想を追い求める時代もあったが、トランプを選んだ米国では、民主主義のシンボルが無実化したことを示しており、今後一層加速化するのではないかと懸念されます。

・米国は、多くの個性から構成される集合体で、時折それぞれの個人やコミュニティが持つ政治理念や文化の違いから衝突も生まれました白人対マイノリティ、キリスト教徒とその他富裕層対労働者階級、都会対田舎等、昔から細かい亀裂が生じていました。それでも何とか一つの国民となっていました。しかし、

今回のトランプショックで全部の亀裂が割れ目となり、米国社会が粉々になる危惧を含んでいます。

・米国は、長年ソフトパワーに優れた国でした。情報の自由と開かれた社会を守り、移民や難民を歓迎し新しいアイデアと技術革新を追求してきました。これらがアメリカを特別な魅力と説得力を与えてきました。今回の大統領選でアメリカのイメージを一気に変えました。

・トランプの勝利は、グローバリズムのもたらす負の側面を大きく浮き彫りにしました。技術の進歩やグローバリズムの恩恵に与れず置き去りにされたという不満が多くの大衆に噴出し、国を開くことが特定の層だけではなく、全体の利益になるというイデオロギーに対する反乱でした。グローバリズムによる自由市場の拡大は、格差の増大をもたらしまた。これは米国のみではなく世界各国に発生した現象です。

です。

・トランプの愚かな発言でも真剣に受け取られたのは、政治家の誰もが解決策を持ち合わせていなかったからです。出口のないジレンマに向き合うより、トランプのような刺激的なことを言う人間がもてはやされることになります。トランプの案では、解決策には程遠いですが、彼のおかげで従来の政治家も問題を否定し続けることができなくなりました。

・ひたすら対米従属という日本側の本質は変わらないなら、トランプによる米国の国益追求がむき出しになる分だけ、今後、従属の露骨さは強まります。それは「永続敗戦」の強化となる恐れがあります。

・トランプの勝利は、世界の右翼、極右を勇気づけました。欧州を初め、世界で極右政権が誕生する恐れがあり、世界は自国優先主義、移民排斥、貿易の関税強化の時代に戻るかのような懸念を与えます。これも前進するための揺れ戻し現象と理解したいものです。

 

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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