2019年6月 2日

2019年5月のブログ ― メイ首相の辞任と英国のEU離脱(ブレグジット)

2019年5月のブログ ― メイ首相の辞任と英国のEU離脱(ブレグジット)

 

今月はメイ首相の辞任表明で新たな展開を迎えようとしているのでこれを取り上げます。離脱を決められないメイ首相が打開策として提案が通れば2回目の国民投票を行うと表明したことが保守党に火を点け、側近も職を辞さざるを得なくなり、遂に6月17日に辞任するということを発表しました。この声明発表の後に涙を流していました。これだけ時間をかけて実現できなかったのですから無念であり、気の毒だと思われますが、責任者として打開策を打ち出せず自らの案を関係者に説得できなかったことは、指導力不足ということになります。さらに、決められない状態が続くと国民生活及びビジネスに悪影響を及ぼします。直後に行われたアンケート調査でもメイ首相の評価は、ひどかった31%、悪かった19%、平均的24%と圧倒的にマイナスでした。

新党首の選出、ブレグジットの行く先、欧州議会選挙の結果について

新党首の選出

政策、方針よりも選挙に勝てる人を選ぶことになるのではないでしょうか。退潮の続く保守党にとって各議員は選挙で自分の首を保証してくれそうな党首を選ぶのは当然かと思われます。そのため、ボリス・ジョンソンが有力と思われます。オックスフォード大学出のエリートで、過去の言動で嘘つきとか責任放棄であるとか避難されてきましたが、国民的人気は高いので選挙の顔として選出の可能性は高いでしょう。ボリス・ジョンソンは離脱強硬派で「EUと再交渉する」あるいは「合意なき離脱でも構わない」という発言するなど、上手く纏められるかどうか懸念は残ります。

ブレグジットの行く先

誰が新党首になっても次の3つのコースから選択しなければなりません。

1.メイ首相がEUとの交渉の末まとめた離脱提案を採択する(下院で3回否決されている)。

2.EUとの合意なき離脱を行う(離脱強硬派が支持しているが下院では否決されている)。

3.離脱をしない(離脱の決定を破棄する)。

これらの3つから決断するために、選択力あるいは論理で説得できる新首相の力が望まれます。

 

欧州議会選挙の結果を踏まえて

5月23~26日に行われた5年に11度の欧州議会選挙が行われました。

これまで議会の56%を占めてきた中道左派(社会民主進歩同盟)と中道右派(欧州人民党)が43%程度と過半数割れの可能性が出てきましたが第1の勢力を占めていることに変わりはありません。一方で躍進が予想されていたポピュリスト勢力は現行の30%から29%程度と伸び悩みになりました。極端な右翼、左翼を嫌う中道志向働いたのでしょうか。これでEUの経済も少し安泰と言えます。

大きく議席を伸ばしたのは企業よりのリベラル派、「緑のグループ(緑の党)」です。中道的左翼が伸びたのは良いことであり、また、この結果を踏まえてEUも更に環境重視の政策が強まればいいと思われます。

英国の投票率はわずか37%でした。これは、EU離脱を前提にしていた為、予想していなかった投票に熱が入らずEUの方向性にもあまり関心は持てなかった、つまり、有権者たちが英国議会へ示した抗議でもあるでしょう。この結果の意味するところは、有権者が保守党と労働党に対してブレグジットに対する態度決定を求めているということです。つまり、過去3年間に及ぶ政治的な曖昧さが離脱派と残留派両方の有権者の怒りを招いたのです。

 

英国の新首相に誰がなってっも、決断を速やかに実施し、メイ首相のような離脱派のみ向いた政策ではなく離脱派と残留派の両方が幸福になるような方策が取られることを望みたいものです。

 

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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