2022年8月30日

2022年8月のブログーウクライナ停戦の可能性

2022年8月のブログーウクライナ停戦の可能性

ロシアのウクライナ侵攻から6か月経過しましたが停戦の可能性は一向に見えず、両者は停滞、または泥沼状況にあるといえます。この現状を打破して停戦に至る可能性はあるのでしょうか、当事者ごとにその対応を見ていきたいと思います。

ウクライナ

 ゼレンスキー大統領は当初、2月ロシア侵略開始以前の状態が停戦の条件としていましたが最近以前に占領されたクリミア半島の奪還が休戦条件とレベルを上げました。これは戦況による判断なのか戦意高揚の意図のためなのか分かりませんがハードルを高くしたことは分かります。

 ウクライナは中途で停戦ということは無いでしょう、徹底抗戦は歴史的な絶対条件だからです。ウクライナは過去1000年以前からロシアの圧政、暴虐を経験してきました、降伏しても必ず殺されてきました、その経験に基づき、「進むも死、退くも死」ですから戦って死を選ぶというのがウクライナ国民の心情でしょう。

 ウクライナの弱点はロシアの強大な軍事力には対抗できないことです。欧米特に米国の軍事支援に頼らざるを得ません。訪米諸国も開戦当時は武器等の支援を積極的に行って来ましたが、最近国によっては当初約束した武器の供与が遅れたりしています。これはウクライナが強力な武器を基にロシアを撃退すればロシアがどのように欧米等の近隣諸国に報復をするかを恐れているからです、特に核兵器の使用を恐れています。このため漸くロシアンと互角に戦闘できるレベルに達しても1次的ですぐに優位は奪われてします。ウクライナはロシアを国外に追い出すまでは戦闘を続けざるをえないのが現状でしょう。

ロシア

 2月のウクライナ侵攻後1地番当惑しているのがロシアでしょう、数日で勝利するつもりの作戦が半年以上もかかって勝利のめどはたっていません。ウクライナの国民を甘く見たのでしょう、また歴史を自己の都合で解釈したのでしょう。親ロシア勢力を多大評価したのかもしれません。兵員数約15万人を投入しましたが半分強の約8万人が死傷したと見積もられています。正式の戦争ではなく軍事作戦と言っている関係上、兵員を増員できず傭兵、囚人に頼らざるを得ない事態を招いています。

 しかし、ロシアは石油、天然ガス、食料等の資源大国です。欧米の経済制裁でも簡単には参ることがないでしょう。それとロシアは第2次世界戦でのドイツとの死闘、ソ連解体後の経済混乱を乗り切ってきた経験があるので貧窮生活に対する耐久力が十分あります。

 ロシアの停戦条件は狙った地域の占領が完了するまでと言うことになるでしょうか。

米国

 米国はウクライナへの最大支援国でありその支援額は2021年5月以来135億ドルに達しています。米国の立場からすればウクライナは代理戦争を行っていると言えますから、狙いはロシアの勢力をできるだけ減退させることにあるわけです。ロシアがある程度物理的に引っ込むことを狙いとしているのでしょう。ウクライナへの武器、経済支援は今後も徹底的に続けるでしょう。しかし、ウクライナが求める戦況を変える武器は要請があってもロシアの反応を考慮して控えるでしょう。ウクライナの善戦で徹底的好機を迎えればその方針を変えるかもしれません。その意味では3番目の主役と言えるでしょう。米国製の武器はロシアに対して効果を挙げていますがこれは米国製武器の評価を高め武器市場でリードを広げる効果を持ち米国の武器製造企業に利益をもたらしています。これが戦争を長引かせる要因の一つとは思いたくはないのですが。

 米国はウクライナがロシアの反発を招き核兵器の使用を招かない範囲での停戦を望んでいると思われますが、その境界線はプーチン大統領のみが知っているので関係各国には心配の種でありましょう。

西欧諸国

 国により支援の態勢、停戦への考えに大きな相違があるでしょう。隣国、旧ソ連に支配された国ではロシアの脅威はウクライナと共有しており、徹底抗戦を支持しています。他の国々は地域的離れている国々ほど支援に温度差が見られ、戦争継続によるガソリン価格等の物価高で厭戦気分が高まっています。支援を遅らせるとか少なくすることで消極的抵抗を示しています。

 以上みてきたところでは残念ながら早急な停戦は実現しそうにもありません。現在での最良の見込みはウクライナが現在の攻勢を強め、欧米の武器支援も増大して来年の春ごろロシアを国外に追い払うことができるかということ、また最悪のシナリオはロシアが中国、北朝鮮党の支援を受けて大攻勢に出てウクライナを制圧することです。

 いずれにしても戦争の継続はウクライナ、ロシア双方に甚大な人的、物的損害をもたらします、願わくば急に停戦が成立して平和で安心して暮らせる生活を取り戻してもらいたいものです。

 

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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