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2025年11月29日

       2025年11月のブログー出版業界の低調下でも面白かった本の紹介
 今月は改めて論壇・出版業界の低調ぶりについて見てみたいと思います。電子媒体の普及により、紙媒体の出版業界は急速に衰退しつつあるのは周知の事実です。我々が学生の頃、日本読書新聞、週刊読書人、図書新聞と3紙が競争し、雑誌より早く安保闘争の状況に対応した、対談、評論を掲載しながら、先鋭性を競っていました。読者に、次は何かと期待を抱かせるものでした。日本読書新聞の廃刊は、嶋中事件の際、論壇の識者からの断固戦えとのアドバイスにも拘らず、右翼の恫喝に屈したことや、新左翼運動の急速な衰退、活字離れによるものでした。
 書籍の案内を行う、図書新聞も来年3月に廃刊となることになる一方で、雑誌「世界」が、この12月号で1,000号を迎えました。そのこと自体は目出たいことかもしれません。その内容について、テーマも著者も私の興味を惹きません。文芸春秋については、テーマに釣られて、目を通す程度です。
中央公論(右翼的でなく、左翼的ともいえる)もぱっとしません。これは、読者に届くテーマを設定できてないこと、魅力的な書き手が不在であることが原因と思われます。昔は、丸山眞男、鶴見俊輔、清水幾多郎、竹内実等、その意見に賛同しかねても、読ませるだけの力が文章に感じられました。論壇のエースが居なくなり、また論壇そのものが不在となっているかもしれません。寂しい限りです。懐古趣味的にエースを挙げるならば、吉本隆明、埴谷豊、谷川雁、黒田寛一、村上一郎等、それなりに面白い人がいました。今では、このような興味を引く人がいなくなったのは極めて残念です。これは、人を育てる論壇やサポートする出版界が弱体化したせいでしょう。さらに、興味を持つ若者が激減したせいもあります。少ないながらも、核マル、中核派に所属する若者は存在し、機関誌は継続して発行されていますが、所詮力不足は否めません。これに反し、右翼系の諸雑誌は、高市首相誕生万歳の記事にあふれて、活況を呈しています、選挙で右派が進出するのはこれらの基盤の違いかと感じます。
最近は特に、新聞、雑誌、書籍を読む人がいなくなりました、列車の中でも新聞、雑誌に目を通しいる人はほとんど見かけなくなりました。どの媒体から情報を得ても同じとは言えますが、紙媒体でなければ、じっくり考えることができないと思われますが、今の人たちはその必要性を感じていないのかもしれません。
 こう嘆きつつも、本当に好きでたまらないから書くと言著者の本に出合うとほっとします。
最近読んだ本で蓮見重彦の「ショットとは何か」「日本映画のために」は、著者が心の底から映画が好きなのが伝わって来て、思わずページが進んでしまいます。昔いた淀川長治氏の映画好きを思い出させてくれます。氏は本当に心の底から映画が好きで、映画について喋ること、が好きでたまらない様子で、はたから見ていてもこちらまで引き込まれてしまったのですが、蓮見氏にもそれが感じ取れます。
ヘンリー・ジーの「人類帝国衰亡史」は、図書館の新刊書のコーナーにあり、手に取りました。著者は古生物学及び進化生物学者です。ホモサピエンスの歴史を人類の発生から進化について書いているのですが、表現が生き生きとしていて休むことなく読ませて売れる内容です。この種の本は無味乾燥で途中で投げ出すのが通常ですが、著者の人類の進化にする暖かい眼差ししが感じられ、それで次はどうなるのと頁を追い続けることになりました。この本はハラリの「サピエンス全史」より、面白かったです。
中山元の「対話と論争で読む哲学史入門」も著者の幅広い知識と心配りで安心して読める哲学入門書でした。この種の本は、通俗的すぎて読み進められないものですが、この本に関しては、テーマ、内容共にレベルが高く、引用本も読んでみたくなりました。読書って本当に面白いものです。
 追加で、吉本隆明全集38巻が完結しました、11年間かかりましたが、ファンにとっては夢のような話です。全集が出ると、その思想が検討されやすくなるといわれています。生前、吉本も全集はでればいいけど、無理だなと思うと言っていたけれど、きっとこ完結の快挙を喜んでいると思われます。

森島 中小企業 ISO支援オフィス


コンサルタント 森島高明


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